セントラルの地下都市の大聖堂では、アルが新しく描かれた錬成陣を発動させようと必死になっていた。
だが、何かが足りなかった。錬成陣だけではやはり門は開くことができないのか…
ホムンクルスが門を開ける鍵なのかもしれない… 門の向こうで巡り会えたエドの言葉が頭をよぎった。
ホムンクルス、ラースが門を開けることができる?でも、どうやって?そう思った時だった。
近くでその様子を見ていたラースがふと近付いて来た。怪訝に見るアル。
ラースは何も言わず錬成陣に足を踏み入れる。と、突然錬成陣が光を放ち始めた。
「これは…」
アルが驚いていると、錬成陣はさらに光を増し始めた。
「どうして…」
「判ってるんだろ?僕が門を開ける鍵だって」
その言葉に驚くアル。
「僕が門を開ける」
「!? どうして君が?」
「僕は帰りたいんだ、僕の世界に」
「君の世界?」
「門の中の世界さ。でも、僕には錬金術の知識が無い。けど、右手、左足がエドワードの物だった時僕は錬金術が使えた。それは手足がエドワードの物だったからだ」
アルは何も言わずにじっと聞いていた。
「今、オートメイルの手足になってからも力の使い方は身体が覚えてしまっている。でも、錬金術の知識が無いから錬成陣を書くことができない。だから…」
「その門を開く為の錬成陣を書くことができる僕をここへ連れてきた、ってこと?」
ラースは頷いた。
「お前はエドワードを連れ戻せる門を開ける、僕は門の中の世界に戻れる、好都合だろ?」
「でも、君は… 君はこの世界に生きてるじゃないか。先生も君の事を」
「あいつはママなんかじゃない!僕のママは門の中に居るんだ。スロウスは門の中に居る。僕は門の中に帰りたいんだ。この世界は僕の世界じゃない!」
ラースはそう叫ぶと足元の錬成陣に手を付いた。
その途端、錬成陣が眩い光を放った。思わず後ずさりするアル。
みるみるうちに建物全体が光に包まれた。
転がるようにアルは建物から飛び出してきた。すでに建物は光に包まれ、その形を変え始めていた。