カーニバル会場を抜け出し、公道まで走って来た、エドワードとノーア。
「家は?」
「そんなもの、ないわ」
エドワードは、少し驚いたようにノーアを見つめていたが、気を取り直し辺りを見回す。ちょうど、小さなトラックがこちらに走ってくるところだった。道に出てその車を停めるエドワード。運転席に座っている人物を見てギョッとなる。なんと、スカーにそっくりなのだ。エドワードが一瞬躊躇っていると、
「どうした」
その男が聞く。
「ちょっと訳アリで帰りの足がなくて困ってるんだ。ミュンヘンまで乗っけてくれないかな?」
男は眉間にしわをよせる。額に傷はないものの、ますますスカーに似てきた。エドワードが困惑していると、助手席から今度は女性が顔を出す。それを見てエドワードの動揺はますますひどくなる。その女性はラストにそっくりだったのだ。
「勘弁してよ」
エドワードが呟く。
「私達もミュンヘンへ野菜を売りにいくところなの。荷台でよければ乗りなさいな」
女は優しく声を掛けてくれた。エドワードはなんとなくほっとして、
「じゃあ、遠慮なく乗せてもらうぜ」
エドワードは車の後ろに回り込むと、荷台に登り、ノーアに手を差し出した。躊躇っているノーア。
「何してんだ。早くしろよ」
エドワードに急かされ、エドワードの手を掴む。そのままグィと引き上げられた。荷台にはたくさんの野菜が積まれている。空いているところを見つけ二人は座り込んだ。と、同時に車は走りだす。エドワードは、人工皮膚のちぎれた右手のシャツの袖を下ろし、ポケットから手袋を出すと両手にはめた。ノーアがそれをまじまじと見ている。
「さっきは驚かせちまったかな。戦争でさ。左足もそうなんだ」
ノーアは、何か考えるようにエドワードを見つめていた。そして、突然
「うそ」
「?」
「その腕と左足は、弟さんを甦らせるために失った・・・」
「!」
エドワードの顔色が一瞬で変わった。
「どうして・・それを・・・・」
「ごめんなさい。隠すつもりはなかったんだけど。さっきあなたの手を握った時に見えたの。私、人に触れるとその人の心を見ることができるの」
「そんなこと・・・」
エドワードは言いかけ、ノーアから視線を逸らす。
「あなたは、ここの人達とは違う。あなたは・・・どこから来たの?」
ノーアの問い掛けにも、エドワードは答えない。視線を外したまま遠くを見つめているだけだった。
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