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まるで、城のような大きなドーム型の屋根が特徴的な豪華な建物、だ。そこはハウスフォーハー教授の別荘であった。その建物の地下にハイデリヒ達は来ていた。大きなロケットエンジンが轟音を上げ燃焼実験を行っているところである。ハイデリヒがコントロールパネルを操作し、実験が行われていた。そのエンジンはその工場で開発、製作された物であったが、ハイデリヒ達が手を加えたのであった。まだ完成されてはいない試作段階のエンジンではあったが、巨大な火を吐きながら燃焼していく様子は完成品に近い物であることがわかる。それを満足そうに見つめているハウスフォーハー。ロケットは次第に燃焼を終えていく。完全に燃焼が終わると、ハウスフォーハーは感嘆の声を挙げ拍手した。
「すばらしい!これならいつでも飛び立てそうだ」
「必ずお望みのロケットを完成させてみせます」
「うむ、君達を信頼しよう。」
ハウスフォーハーはハイデリヒ達を見渡すと、
「金髪、碧眼。皆見事に古代アーリア人の血を受け継いでいる。このエンジンが完成すれば、ドイツ民族の誇りになるだろう。我々ドイツ民族の優秀さを世界に示してくれたまえ。期待しているよ」
「はい。ありがとうございます」
嬉しそうに笑顔を交わすハイデリヒとヨゼフ達。中には歓喜して喜ぶ者もいた。
しかし、ここにエドワードの姿は無かった。この場にエドワードがいたらどんなに素晴らしい瞬間になっただろう、ハイデリヒは今この場にエドワードがいないことがひどく寂しかった。この喜びを共に分かちあえたらどんなによかったことか。
突然、バタバタと数人のハウスフォーハーの部下が走り込んでくると、ハウスフォーハーに何事か耳打ちをする。
「・・・そうか。わかった」
ハウスフォーハーは短くそう返事をすると、ハイデリヒ達の方に向き直る。
「すまない。急な仕事が入ってしまった。早速だが明日からでもここに通ってくれたまえ。しかし、これは大学には正式に許可を取っていないのでね。しばらくは内密にお願いしたい」
「わかりました」
ヨゼフ達の間から再び感嘆の声が挙がった。


別荘の建物の中でも一番眼を引く巨大なドーム型の建物。その内部は何も無くガランとした部屋であった。壁には何段かのテラスが設けられ中心は巨大な吹き抜けになっている。窓はほとんど無く、天井付近にあるわずかな窓からは、月明かりが差し込んでいた。
その月明かりが僅かに照らすテラスに一人の女性が腕組みをして立っていた。
デートリッヒ・エッカルト。トゥーレ協会会長として多くの党員を率いる女性会長である。その彼女の元へハウスフォーハー達がやって来た。
「エッカルト会長。伝説の蛇がいる場所がわかったそうですな」
エッカルトはゆっくり振り向くと、
「まず、間違いないでしょう。目撃者がいました。すぐに捕らえてこの場に連れてこなければいけません。ヘス少尉、指揮をお願いします」
「はっ」
ヘスは軽快に返事をすると、踵を返し走っていく。
「シャンバラに至る時は確実に近付いていますよ」
エッカルトはハウスフォーハーから視線を外し、暗がりの一点を見つめた。暗がりではっきりとは判らないが、そこには一人の男が立っているのがわかる。その男は銃を突きつけられているようだった。エッカルトはその男に声を掛ける。
「そうですわね?」
「・・・・・・・・・・・」
男は何も答えなかった。

 別荘の外壁、その一部に複葉機の格納庫があった。壁が開き、複葉機が次々に飛び立ってゆく、その機体には特殊な武器が塔載されていた。空高く舞い上がった複葉機の編隊は、目的地に向かって飛び去って行った。